【レポート】SNSでの影響工作と株価変動の関係 〜ハッシュタグとボットの影響〜 2/2
「SNSでの影響工作と株価変動の関係 〜ハッシュタグとボットの影響〜 1/2」の続きです。
6. 小林製薬の詳細調査
◆調査概要
ボットアカウントの存在が、必ずしも意図的な情報拡散や影響工作の疑いを強める要因になるとは限らない。実際、ボットアカウントの中には、トレンドとなった特定のキーワードを自動的に使用して投稿するだけで、悪意の拡散には関与しない無関係なアカウントも存在する。
このような背景から、ポスト期間全体の分析に加え、拡散が発生する前段階(初期段階)でのボットによる投稿を精査することが重要である。炎上直前の投稿においてボットの割合が高い場合、情報拡散の試みや工作の可能性が示唆されると言える。
本セクションでは、「小林製薬」に関するボットアカウントの詳細調査を行った。その結果、拡散の初期段階において、ボットによる投稿やリポストが頻繁に行われており、拡散を試みている様子が伺えた。また、アクティブファンド・オアシスの動向に注目したところ、タイミングを合わせて株式の取得を行なっていた。
◆データ収集
小林製薬に関する投稿のデータを追加で収集した。表5に示すデータと新たなデータの両方を分析に使用した。
◆ボットの活動状況
小林製薬のデータに対して、日次で総ポスト数とボットによるポストの割合を算出した。各日次における総ポスト数を集計し、その中からボットによるポストを抽出して、ボットによるポストの割合を以下の式で求めた。
当該日次のボットポスト割合 = 当該日次のボットによるポスト数 / 当該日次の総ポスト数
結果を図9および図10に示す。図中のグラフでは、青色がボットポストの割合、緑色が総ポスト数を表している。
図9:日次別総ポスト数とボットポストの割合 3月11日~3月29日
図10:日次別総ポスト数とボットポストの割合 6月19日~7月5日
次に、ポスト数がピークに達するまでの拡散初期を対象に、リポストの多いポストを抽出した。